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コラム

続・観光舞妓問題

もはや野放し状態?!変身普段着舞妓のあり方について

更新日
2002年11月27日

ひところ騒がれた観光舞妓問題。最近ではお店側も気をつけるようになり、変身する人も意識するようになったのか、白塗りの舞妓姿でお行儀の悪い変身舞妓さんのことはあまり取り沙汰されなくなりました。が!今新たに問題になり始めているのがここ最近増えてきている「普段着舞妓」の変身さん。日本髪に普通の着物姿(白塗りメイクではない)といういわゆる舞妓さんの普段着スタイルで河原町や祇園に出没し、大騒ぎしたり修学旅行生や観光客に花名刺を配って「今度お座敷に呼んでおくれやす」みたいなことを言ったり。挙句には様子を見かねて注意したお店の人に何者なのか聞かれて、これまた花名刺を出したりと、なんとも目にあまる行動をとっている普段着変身舞妓が一部にいるようなのです。

そもそも変身舞妓が問題となったのは、変身舞妓のマナーの悪さ、本物との紛らわしさに伴う舞妓さんへの誤解やイメージ悪化を懸念する花街などからの苦情にありました。今またまったく同じような問題が起きていると言えます。それどころか、花名刺を配ってあたかも本物を騙るところなど、以前の観光舞妓問題より悪質な事態ではないかと思います。

「普段着舞妓」は、より本格的に舞妓さんを体験したいという人がカツラではなく地毛結いで日本髪を結って舞妓をやり、せっかく結った髪をすぐに壊してしまうのはもったいないから舞妓変身後にそのまま普通に着物を着て観光するようになったのがそもそもの始まりだと思います。プランとして定着するずっと前から、自分で着物を持ってきてそのようにしている人が一部にいたわけです。「普段着の舞妓さんに変身する」というよりは、どちらかというと日本髪や着物姿を楽しむという性格のほうが強かったのではないかと思います。確かに日本髪なんてなかなか結う機会はないし、まして本格的な日本髪だと結える人も京都くらいしかいない上に結髪料金も高い。これを何時間かでといてしまうのは確かにもったいないです。本物の舞妓さんたちは実際一度結ったら何日間かはもたせているわけですし、京都に滞在する間は髪を結ったままにしておくことは物理的にも可能です。こうしたニーズに合わせて、お店の中には普通の着物を貸してくれるところも出てきました。それが変身プランの一つとして定着したのが「普段着舞妓変身」と言えます。

私自身、日本髪にはとても魅力を感じています。日本髪を結ってみたいと思うし、せっかく結ったらすこしでも長くそのままいたいと思います。舞妓変身じゃなくても、普通に着物を着て髪を結ってみたいと思うくらいです。実際、変身じゃなくて普通に着物を着て近所の美容院で新日本髪を結ってもらったこともあります。日本髪に着物姿で出歩くこと、普通に観光を楽しむこと自体は決して悪いことではないし、そうすること自体が問題だとは正直思っていません。新日本髪ならともかく本格的な結髪のできる髪結いさんがほとんどいない今、京都はそういったことが体験できる貴重な場所でもあります。舞妓さんを結っている美容院さんが素人さんもお客さんとして受けているのだから、決して素人さんが日本髪を結ってはいけないというのではないと思うのです。日本髪を結って出歩くこと自体が問題なのではなく、そうしたときの行動や意識のあり方が問題なのだと思います。一人一人のモラルが問われているのです。

このままではいつか、「普段着舞妓」も制限の対象になってしまうかもしれません。でも、ここで私が心配なのは「普段着舞妓」の定義。舞妓さんというわけではなく、ただ日本髪が好きで結っている人もそう思われて白い目で見られるとしたら‥‥。素人さんは京都で自由に日本髪を結って歩けなくなってしまうのか‥‥。本物の舞妓さんではなく日本髪に着物姿の人がみんな「マナーの悪い変身舞妓」扱いされてしまうとしたらそれはとても悲しいことです。花街文化、日本髪を含め日本的な文化のよさをいろいろな人に伝えたい、知ってほしいと思っている人たちにとっては、舞妓変身体験は諸刃の剣ともいえるかもしれません。これを通じて興味を持ったりよさを知ったりする人が多くいる中、別な問題も生じさせているのですから。利用者のモラルの向上、また変身をさせるお店側の舞妓変身に対する意識のありようが改めて問われているのかもしれません。

変身舞妓が地元の人たちにあまり歓迎されない理由を今一度考えてほしい。白塗りの舞妓姿じゃなければ何をしてもいいわけじゃないと思います。自分たちは決して舞妓さんではないのです。「普段着舞妓」姿で出歩くときはそのことをきちんと頭においておくべきだと思います。日本髪に着物という姿が京都という場所ではどのように人の目に映るのかを頭に置いた上で、京都ならではの体験の一つとも言える伝統的な日本髪を楽しんでほしいです。(そういう意味では京都という場所は日本髪での行動がもっとも制限される場所かもしれません。気兼ねなく楽しむなら自分の地元で新日本髪でも結える美容院をさがして結ってもらうことなのかもしれません。もしくは京都で結ってそのまま帰るか。←いや、冗談とかではなく本当に。)そう、花名刺だって作っちゃいけないわけじゃないし、かんざしとかも買っちゃいけないわけじゃないんです。舞妓さんグッズを自分で買って、ちょっとした舞妓さん気分を味わうのはいけなくはないと思います。ただ、それはあくまでもお遊び。遊びの中にある最低限のルールを守って楽しむべきではないでしょうか。

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